法科大学院
新しい時代に応える法曹養成
 
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司法制度改革の一環としての法科大学院

現代社会の複雑な法的トラブルに対処するためには、法曹(弁護士・裁判官・検察官)界においても、これまで以上にさまざまな資質を備えた人材が必要になります。また、グローバル化や規制緩和が図られて社会全体が大きく変化している我が国では、国民生活の各場面で法曹の需要が増大し、才能ある法曹人口の大幅な増加が緊急の課題となっています。
この観点において司法制度改革が推進され、その一環とし、法曹養成に特化した教育を行う法科大学院(ロースクール)が設置されました。


■法科大学院受験には統一適性試験の成績を提出する

法科大学院を受験するには、大学入試センターが実施する統一適性試験(以降、適性試験と表記)の成績を提出しなければなりません。各大学院ではこの成績を合否判定の資料の一つとして使用します。適性試験は大学入試センターのほかに日弁連でも実施しています。

 

■法曹教育に特化したプロフェッショナル・スクール

これまで法曹になるためには、旧司法試験(平成18年からスタートした司法試験を「新司法試験」と呼び、これまでの司法試験を「旧司法試験」と呼びます。平成23年までは新・旧両試験を並行実施)をクリア後、司法修習を1年4ヶ月実施しました。

旧司法試験は最終合格率2~3%の超難関試験で、この試験をクリアするために、大学等では合格技術習得の教育が優先され、本来の法曹となるべき人材の資質向上を目指す教育からはかけ離れる傾向にありました。また大学の法学教育は、法曹界ばかりでなく法的資質を持った人材を社会のさまざまな分野に送り出すことが主たる目的で、高度な専門職業人としての法曹の養成機関とは異なっていました。

法科大学院はこの弊害を改め、法曹に特化したプロフェッショナル・スクールとして平成16年に誕生。現在、国立23校、公立2校、私立49校の計74校が設置されており、およそ5,500人が入学しています。

これら74校はそれぞれに特色を持っていますので、選定に際してはよく調べ、自身の考えに一番あった大学院に出願するとよいでしょう。

なお、平成15年に設けられた「高度専門職業人養成に特化した実践的な教育」を行う専門職大学院に法科大学院も含まれており、修了すると「法務博士(専門職)」の学位が授与されます。

●年度別/法科大学院の入学者数 (平成19年度)
年度
法学既修者
法学未修者
合計
このうちの社会人数
平成18年度
2,179人
3,605人
5,784人
1,925人(33.3%)
平成19年度
2,169人
3,544人
5,713人
1,834人(32.1%)


■法的思考力や人間性を磨く教育が随所でなされる

「法学既修者コース」と「法学未修者コース」
法科大学院には「法学既修者コース」と「法学未修者コース」があります。既修者コースは法科大学院で必要とされる法学の知識を既に学んだ人のコース、未修者コースは専門としては法学を学ばない非法学部出身者で、法曹を志したい人のためのコースです。受験者はどちらのコースの選択も可能です。しかし既修者コースの入試には法律科目も課されますので、非法学部出身者は未修者コースの受験が無難です。

大学院での教育は、どちらのコースも少人数で密度の濃い授業が基本です。また実践的教育として、弁護士の監督指揮の下で具体的事例に即して学ぶ「クリニック」や、法律事務所や企業の法務部で研修する「エクスターンシップ」など高度な内容もセッティングされていて、随所で法的思考力や人間性を磨く教育がなされます。


●既修者コース
修業年限2年。2年を通して実践的な科目に重点を置いた高度な教育が行われる。入試は小論文と面接のほかに法律科目が課される。
●未修者コース
修業年限3年。1年目は法律の基礎を学び、2年目以降は実践的な科目に重点を置いた高度な教育が行われる。入試は小論文と面接が中心。


■法学部出身者以外の人材も多数入学しており選定の幅は広い

法科大学院では、国民生活にかかわる多種多様な問題の解決を多角的に判断して処置できる法曹の養成を目的としています。このため法学部以外にも経済学や理学、工学、文学、医学などいろいろな分野で学んだ人材や、社会に出てさまざまな経験を積んで深い見識を持った人材を幅広く、積極的に受け入れます。

これは、法科大学院入学者選抜では「入学者の3割以上は非法学部出身者や実務経験を有する社会人などにする」となっているためで、実際の各法科大学院の選抜結果を見ても、非法学部出身者と社会人の合格者の割合は全合格者の3割を超えています。

なお、社会人に配慮して特別枠を設け、負担の軽い入試を実施する大学院もありますので、志望校選定の際にはよく調べておくとよいでしょう。

●コース/法科大学院の入学者数
(平成19年度)
コース
法学系
文系
理系
その他
合計
既修者コース
1,855人
247人
35人
32人
2,169人
未修者コース
2,368人
814人
238人
124人
3,544人

*文系は法学系以外の人文学部・社会学部系学部、理系は理学・工学・農学・保健・商船系学部、その他は家政・教育・芸術系学部ほか


■法科大学院受験には統一適性試験の成績を提出する

法科大学院を受験するには、大学入試センターが実施する統一適性試験(以降、適性試験と表記)の成績を提出しなければなりません。各大学院ではこの成績を合否判定の資料の一つとして使用します。適性試験は大学入試センターのほかに日弁連でも実施しています。

適性試験は法律の知識や学力の試験ではなく、法曹には欠かせない素養である判断力・思考力・分析力・表現力等を測るものです。

大学院によって、大学入試センターおよび日弁連の両方の成績の提出を求めるところ、大学入試センターだけでよいところ、大学入試センターだけでよいが任意で日弁連の成績提出がありそれが好成績なら評価の対象にするなど使用法はさまざまです。

17年度の大学入試センター適性試験の平均点は56.5点(100点満点)、日弁連は169.4点(素点を300点満点に換算)です。しかしこれはあくまでも全受験者の平均点で、実際の合格者の大学入試センターの平均点を見ると、同志社大学法科大学院65.3点、中央大学法科大学院67.5点、上智大学法科大学院62点などとなっています。

●統一適性試験の成績
(大学入試センター・日弁連/平成19年度)

受験者数
平均点
総合得点
大学入試センター
14,266人*
1部
29.71点
2部
37.76点


67.47点
日弁連
11,945人
1部
54.9点
2部
43.7点
3部
48.9点

147.5点

*大学入試センターの受験者数は2部を受験しなかった者(7人)を除いた数

問題構成と配点
 大学入試センター:1部は推論・分析力(50点満点)、2部は読解・表現力(50点満点)
 日弁連:1部(論理的な判断力)、2部(分析的判断力)、3部(長文読解力)いずれも100満点。


■新司法試験は法科大学院修了者のみが受験できる

法科大学院修了後、法曹界に進むには司法試験にパスすることが必要で、平成18年からは一連の司法制度改革の一環として新司法試験が実施されました。この新司法試験の受験資格が与えられるのは法科大学院修了者だけで、それ以外の人は旧司法試験を受験することになります。

新司法試験と旧司法試験は平成23年まで並行実施されますが、両方の試験を受験することはできません。

なお、平成19年に実施された新司法試験には、法科大学院修了者4,597人(4,607人が受験しましたが途中で10人が退席)がチャレンジしました。合格者は1,851人で、受験者に対する合格率は40.3%(前年は48,3%)でした。

●平成19年新司法試験実施状況 
(法務省)
出願日
試験日
試験会場
合格者発表日

平成18年
12月1日~14日

平成19年
5月15日
16日
18日
19日
(短答式)
(論文式)
(論文式)
(論文式)

札幌市
仙台市
東京都
名古屋市
大阪市
広島市
福岡市

平成19年9月13日
出願者数 5,401人(前年2,137人)
受験者   4,597人(途中欠席10人を除く)(前年2,087人)
合格者   1,851人(前年1,009人)


■法曹人口の大幅な増加が期待できる

我が国の試験の中で最難関といわれる旧司法試験の最終合格率は2~3%で、合格者数は1,000名~1,500名です。これでは現代のように多様化した社会が必要とする法曹人口の数に足りません。

司法制度改革では法曹の質の向上と法曹人口の増加を目指していますので、今後の新司法試験では合格率・合格者数ともに大幅な増加が期待され、平成22年ごろには、およそ3,000人の合格者が出るものと予想されています。

新司法試験合格後に新司法修習が1年間行われます。従来の司法修習より4ヶ月短くなっていますが、これは法科大学院で法曹に特化した高度な実践的教育がなされるためです。

新司法修習修了後には国家公務員(I種)試験を受験して法曹界に進む道、企業や行政機関に進む道など広い前途が開かれます。

その第一歩となる法科大学院を目指して、今後とも大いに努力してください。


 ●法曹界への道のり

統一適性試験受験
◆大学入試センター(2部構成。1部:推論・分析力、2部:読解・表現力)
◆日弁連(3部構成で、受験者の判断力・思考力・分析力・表現力等の資質を問う。平成18年度は4部構成になっている)

志望の法科大学院へ出願

◆適性試験の成績・成績証明書・志願理由書(東北大学法科大学院の場合)
◆法科大学院は74校(国立23、公立2、私立49)


法科大学院受験

法学既修者コース

 ◆小論文・面接
 ◆法律に関する試験

*法律に関する試験が課されるが法学部出身者以外でも受験可能

法学未修者コース

 ◆小論文・面接

*主に法学部以外の出身者を対象としたコースで、法律に関する試験はない

法科大学院法務研究科等に入学

法学既修者コース

 ◆修業年限2年
 ◆2年間を通して法律の実務科目を学ぶ

*実務科目の習得については、各大学院で特色を出しており、大学院選定のポイントになる。未修者コースも同じ

法学未修者コース

 ◆修業年限3年
 ◆最初の1年間は法律の基礎科目を学び、後の2年間で実務科目を学ぶ


新司法試験受験

新司法試験合格後、1年間の新司法修習(旧司法修習は1年4ヶ月)

新司法修習後、法曹界へ(官公庁、一般企業への就職も可能)