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医療福祉専門職大学院
高齢化社会を支える医療・福祉・心理を学ぶ
 
 
我が国の本格的な少子高齢化は、労働、年金、福祉、医療、教育などの現場にさまざまな問題を投げかけています。
たとえば今後の若年層減少に伴う労働力不足と我が国の生産性問題、増え続ける若者のニート化やフリーター問題、また高齢者・障害者をサポートする医療の現場での医療従事者(医師、看護師、保健師、理学療法士、作業療法士など)の不足や資質の問題。例を挙げればきりがありません。
これは医療ばかりでなく福祉分野や心理(カウンセラーなど)分野にも当てはまる問題です。


看護・医療・公衆衛生

■助産師のスキルアップを図る助産専門職大学院がスタート

厚生労働省、文部科学省、総務省は医師不足解消のため、24年ぶりに大学の医学部定員を増やすことを決めました。特に地方の医療、中でも小児科と産科の医師不足は深刻といわれています。三重県のある地方では産科医不足により産婦人科病院が突然なくなり、お産をするために数十キロも離れた病院へ行かなければならないということです。

助産師不足も問題になっています。我が国有数の出産数を誇る病院で、無資格である看護師、准看護師に妊婦のケア(内診)をさせていたことが判明して問題になりました。病院側は助産師不足を訴えています。我が国の助産師はおよそ26,000人で慢性的に不足しているといわれ、助産師の増員と資質の向上が今後の課題です。

この資質の向上(ケア能力のアップなど)や助産管理、助産教育におけるリーダーの育成を目標に、平成16年に助産専門職大学院ができました。天使大学大学院助産研究科がそれで、修了すれば助産修士(専門職)の学位が授与されます。専門職大学院ではありませんが国際医療福祉大学大学院医療福祉研究科保健医療学専攻でも高度な専門職技術の習得を目指す人のために、助産学が高度専門職重点科目として配置されています。看護師や理学療法士、作業療法士などの医療技術向上を目指す医療プロフェッショナルのコースもあり、課程修了者には修士(保健医療学)の学位が授与されます。

現在の看護・医療系大学院(公衆衛生を含む)は、一般財団法人日本生涯学習総合研究所の調べではおよそ100校あり、そのうち専門職大学院は京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻(公衆衛生系)、九州大学大学院医学系教育部医療経営・管理学専攻(公衆衛生系)、天使大学大学院助産研究科助産専攻(看護・医療系)、東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻(公衆衛生系)の4校となっています。


■病気予防と健康増進を社会的立場から考える公衆衛生学

ここで上の項であげた京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻(公衆衛生系)、九州大学大学院医学系教育部医療経営・管理学専攻(公衆衛生系)、東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻(公衆衛生系)で学ぶ公衆衛生ついて説明しましょう。

公衆衛生という概念は日本ではあまり一般的ではありません。わかりやすくいえば病気とその治療を研究するのが医学なら、公衆衛生学とは病気の背景となるさまざまな社会的あるいは人間的環境まで含めて分析し、病気を予防し健康を増進するための学問といえるでしょう。この分野は日本では医学教育の一環として行われてきましたが、いま述べたように、社会的な要素を多く含む公衆衛生学は保健、心理、福祉といった分野はもちろん、社会学的な知識も含まれてきます。たとえば東京大学大学院医学系研究科のカリキュラムは、公共健康医学専攻疫学、生物統計学、臨床疫学、保健医療経済学、医療コミュニケーション学、精神保健学、健康社会学、老年社会科学、医療倫理学、健康医療政策学、医療情報システム学、法医学・医事法学、医療安全管理学、健康危機管理学、環境健康医学など幅広い分野で構成されています。先にあげた三つの公衆衛生系専門職大学院以外に、いわゆる大学院ではありませんが、厚生労働省管轄下の国立保健医療科学院が実施している教育研修の専門課程(I,II)を修了して研究論文の審査ならびに最終試験に合格すると前記二つの大学院同様、公衆衛生学修士号を取得することができます。


福 

■福祉マネジメントが学べる医療・福祉系大学院

社会福祉士、介護福祉士など福祉を担う人材の育成はこれまで専門学校が中心でしたが、最近では大学卒業以上の社会福祉士がおよそ50,000人登録されています。しかしこの中で、大学院で福祉を専門的に学んだ人はほんのわずかといってよいでしょう。

近年、福祉制度改革や規制緩和で福祉分野への民間からの参入が多くなっています。しかし多くの場合その仕事は現場で直接福祉活動に携わる人が中心です。福祉の質を高め、福祉政策を拡大する意味からも、これからの福祉には現場だけにとどまらず多様化、複雑化、高度化する問題に対応でき、かつ福祉経営を管理・運営していくマネジメント能力を備えた人材が望まれています。つまり社会福祉士の資格を持った人材が福祉系大学院で高度な知識・スキルを習得して、その上で専門的なマネジメント能力を身に付ける必要性が生じているというわけです。

臨床心理士になるには、第一段階として(財)日本臨床心理士資格認定協会から指定された大学院で必要な知識と技術を学ぶことです。これによって受験資格が得られ、第二段階として同協会が行う資格試験を受験し、合格すれば晴れて臨床心理士に認定されるわけです。指定校には第1種指定校と第2種指定校があります。多くは一般の大学院の心理学研究科などですが、平成18年に九州大学大学院人間環境学府実践臨床心理学専攻、平成19年に鹿児島大学大学院臨床心理学研究科臨床心理学専攻、帝塚山学院大学大学院人間科学研究科臨床心理学専攻、広島国際大学大学院総合人間科学研究科実践臨床心理学研究科が、それぞれ専門職大学院として認可されました。学位は臨床心理学修士(専門職)です。

これを踏まえて、平成16年に1年制の福祉専門職大学院である日本社会事業大学大学院福祉マネジメント研究科が設置されました。ここにはケアマネジメントコースとビジネスマネジメントコースがあり、前者はケアマネジメントを手段とするソーシャルワークについての高度な知識・スキルを履修します。後者は社会福祉法人の経営戦略やノウハウ、福祉コミュニティビジネス、福祉NPO法人の設立と運営法の習得を目指しています。一般の大学院である東京福祉大学大学院社会福祉学研究科でも同じような内容の履修が可能ですし、平成18年4月に誕生した東洋大学の独立大学院福祉社会デザイン研究科や聖学院大学大学院人間福祉学研究科でも学ぶことが出来ます。

福祉を推進してく上で高齢者を中心にしたこころのケアは欠かせません。このため福祉系大学院では福祉心理学を学びますが、臨床心理士の資格取得に向けてのカリキュラムを配置しているところがあります。関西福祉科学大学大学院社会福祉研究科、川崎医療福祉大学大学院医療福祉学研究科(以上第1種指定校)、岩手県立大学大学院社会福祉学研究科、北海道医療大学大学院看護福祉研究科、北星学園大学大学院社会福祉学研究科(以上第2種指定校)などです。

なお前記大学院を含めて、我が国には現在およそ110校の福祉系大学院があります(一般財団法人日本生涯学習総合研究所調べ)。


心 理

■現代社会のさまざまな分野で活躍が期待される臨床心理士

今我が国では幼児虐待や少年による犯罪が多発しており、社会全体で取り組まなければならない問題になっています。青少年問題に限らず、社会の歪みやストレス社会から受けるこころのダメージは深刻で、この問題に取り組む心理学が大きな脚光を浴びているのは当然といえるでしょう。

心理学の各種の資格を持った人材が教育、医療、福祉の現場でカウンセラーとして仕事に携わったり、司法、労働の領域で犯罪被害者支援や職業適性調査を行ったりと、さまざまな活躍をみせています。中でも、こころに問題を抱えた人に接し、心理療法や改善技法等で問題の解決をサポートする臨床心理士が注目されています。

臨床心理士になるには、第一段階として(財)日本臨床心理士資格認定協会から指定された大学院で必要な知識と技術を学ぶことです。これによって受験資格が得られ、第二段階として同協会が行う資格試験を受験し、合格すれば晴れて臨床心理士に認定されるわけです。指定校には第1種指定校第2種指定校があります。多くは一般の大学院の心理学研究科などですが、平成17年に九州大学大学院人間環境学府実践臨床心理学専攻、平成19年に鹿児島大学大学院臨床心理学研究科臨床心理学専攻、帝塚山学院大学大学院人間科学研究科臨床心理学専攻、広島国際大学大学院総合人間科学研究科実践臨床心理学研究科が、それぞれ専門職大学院として認可されました。学位は臨床心理学修士(専門職)です。

臨床心理士については以下の「臨床心理士」をご覧ください。







現代社会の“こころ”の問題に取り組む
臨床心理士の資格取得を目指す!

 
不安定要素やストレスが多い現代社会にとって「こころの専門家」である臨床心理士は欠かせない存在です。

今人気の臨床心理士になるには大学院修士課程(博士前期課程)を出て資格試験にパスすることが必要です。


■不安定要素の多い現代には欠かせない「こころの専門家」――臨床心理士

阪神淡路大震災や大阪の小学校殺傷事件で、PTSD(心的外傷後ストレス障害)が注目され、“こころ”のケアの重要性が叫ばれました。最近の多発する家庭内暴力、いじめ、不登校、育児不安、幼児虐待、高齢者介護問題、うつ病患者の増加などを見ても、こころのケアは避けて通れません。(財)社会経済生産性本部の「メンタルヘルスの取り組み」に関する調査では、6割の企業で「こころの病」が増加しているとのことです。

このように不安定要素やストレスが多い現代社会には、こころの病を心理学による諸方法で援助・ケアする「こころの専門家」が必要です。

臨床心理士とは、こころを病んでいる人のそば(臨床)――つまり直(じか)に接して、心理学的知識やスキルでその人を援助・ケアし、健康なこころを取り戻す手伝いをする人(カウンセラー)をいいます。その重要性は精神科医と同等といわれるほど高度な専門職です。現在、日本臨床心理士資格認定協会から認定されている臨床心理士の数はおよそ15,000人で、我が国が必要とする人数にはまだ達していません。


●臨床心理士になるには?

大学院修士課程を修了してから認定試験をパスすること
臨床心理士は国家資格ではありません。文部省の認可を受けた(財)日本臨床心理士資格認定協会が実施する資格試験をパスすることによって認定される認定資格(民間)ですが、国家資格に匹敵する有力な資格です。

この試験を受験できるのは、協会の指定を受けた大学院修士課程(博士前期課程)で所定の心理学を学び修了することが必須条件です。指定校には第1種と第2種があり、第1種指定校修了者は修了後すぐに認定試験を受験できます。第2種指定校修了者の場合は1年間の実習(臨床)経験が必要です。

なお、平成17年4月に九州大学大学院人間環境学府実践臨床心理学専攻が、臨床心理士養成では初めての専門職大学院となりました。平成19年4月には鹿児島大学大学院臨床心理学研究科臨床心理学専攻、帝塚山学院大学大学院人間科学研究科臨床心理学専攻、広島国際大学大学院総合人間科学研究科実践臨床心理学研究科が臨床心理専門職大学院として認可されました。専門職大学院修了者は平成19年度から1次試験(筆記試験)のうち小論文が免除されています。

臨床心理士希望者(大学の心理学出身者、他学科出身者、社会人)
大学院心理学研究科(第1種指定校)
大学院心理学研究科(第2種指定校)


実習(臨床)経験1年
日本臨床心理士資格認定協会主催の臨床心理士資格試験
臨床心理士


■教育・医療をはじめ多くの分野で臨床心理士の必要性が高まっている

臨床心理士の活躍の場は多岐にわたり、大きく分けると教育分野、医療分野、福祉分野、産業分野、司法分野になります。

教育分野では、文部省が任用するスクールカウンセラー(臨床心理士に限定されてはいない)をはじめ各種教育機関の心理カウンセラーなど。この教育分野は重要で、学校基本調査報告書(文部省)によれば不登校児童・生徒のうち3割強が原因不明とされて、こころの内が見えず、心理カウンセリングなどの慎重な援助・ケアが必要といわれています。医療分野では病院・診療所をはじめ保健所、保健センター、精神保健福祉センターなどでの心理的援助、医療機関では医師と協力して心理療法などを施します。

福祉分野では老人介護に関わる心理的ケア、子どもの非行や障害者(児)に対する心理的援助など活躍の場は広がっています。そのほか企業内のカウンセラーや司法関係では矯正に向けての心理的援助など、臨床心理士の必要性は高まる一方です。

●臨床心理士の職域
分 野
職 場
内 容
教育の分野
学校内の相談所、教育センター、各種教育相談所など 発達、学業、生活面などの問題に対して心理的援助を行う。本人との面接のほか、親面接、教師へのコンサルテーションなどを実施し、必要があれば他の機関との橋渡し役を努める
医療・保健の分野
病院・診療所(精神科、心療内科、小児科、その他)、保健所、精神保健福祉センター、リハビリテーションセンター、市町村の保健センターなど こころの問題で不適応に陥った人、病気やけがなどをしている人への心理的援助を行う。心理テスト、心理療法のほかに、デイケアやコンサルテーションなどの活動を行う。市町村の保健センターでは、保健婦とともに乳幼児の健康診断・発達相談などを実施する
福祉の分野
児童相談所、療育施設、心身障害者福祉センター、女性相談センター、障害者作業所、各種福祉機関など 子どもの心身の発達、非行、障害児・者、女性問題などの福祉に関することに対して、心理的側面から援助する
司法・矯正の分野
家庭裁判所、少年鑑別所、刑務所、拘置所、少年院、保護観察所、児童自立支援施設、警察関係の相談所など 社会的処遇を決定する際の心理的側面に関するテストや調査、矯正に向けての心理面接などを行う
労働・産業の分野
企業内相談所、企業内健康管理センター、安全保健センター、公立職業安定所(ハローワークス)、障害者職業センターなど 職業生活の遂行のために、面接や職場内へのコンサルテーションなどの心理的援助を行う。就業の相談では職業への適性を調査する
臨床心理士が活躍できる比較的新しい職域・職種としては、スクールカウンセラー、犯罪被害者支援、子育て支援、高齢者支援などが挙げられる。また、教育の分野では、臨床心理士の養成に努めている有資格者の大学教授がいるほか、個人で開業している臨床心理士も徐々に増加しつつある
提供:(財)日本臨床心理士資格認定協会


■大学院選定のポイントは、志望校の特色をつかむこと

大学院の心理学専攻は大きく文学系、教育学系、福祉学系、人文社会学系、人間科学系に分けられます。どの大学院も臨床心理士に必要なカリキュラムが組まれており、臨床心理士になるための有利・不利はありません。ただし教育分野の臨床心理士を目指すなら教育学系、福祉分野なら福祉学系が専門知識をより深く学べるといわれているように、それぞれの大学院の特色を調べるのが選定のポイントになります。

履修内容は基礎的な心理学をベースに実社会で役立つ実践的なカリキュラム配置になっています。たとえば目白大学大学院心理学研究科(第1種指定校)では「基礎的・理論的研究だけでなく、実践に直接つながるアセスメントや心理療法・カウンセリング技法を習得するための教育」を行うとしています。どの大学院も実習も含め2年間の授業はかなりハードです。

心理学系大学院では、大学の心理学科以外の卒業者や社会経験が豊富な社会人の入学を歓迎しており、社会人向けの特別入試や夜間主コース、昼夜開講制、サテライトキャンパスを用意しているところもあります。