社会人入試における「研究計画書」「面接」「小論文」「英語」のツボ!




国際化、情報化の進展、イノベーションの時代には
高度な技術、高い専門性が求められる


受験対策指導:青山IGC学院学院長・政治学博士 工藤美知尋先生
 社会人入試対策に入る前に、まず、自分は何のために働いているのか? どうして、大学や大学院に行って勉強したいのか? について考えてみましょう。国際化、情報化の進展、高度な技術、高い専門性が求められるイノベーション時代の経営、その中で、社会人の意識の変化、特に成果主義のもとでの勤労意識には大きな変化がみられています。まず「社会人としての意識」について考えてみましょう。


仕事観、勤労観が大きく変化している

日本人の「勤労観」に関する全国世論調査の結果(2005年7月28日付読売新聞)が掲載されていました。この世論調査の総括として、「ニート」(15歳~34歳の年齢層で、通学も家事もせず、働く意思がまったくない人々。内閣府の発表によると、2005年で推計85万人)や、「フリーター」(定職に就かずアルバイトなどで暮らす人たちで、213万人に上る。短期で仕事を変える人が増えると、企業にとっては人材育成が難しくなり、経済力低下の一因になるともいわれている)の増加に象徴される若者の勤労意欲の希薄さに対する懸念や危機感を浮かび上がらせたとしています。
 その他にも、「勤勉な日本人」に黄信号、「成果主義好ましい」64%、60歳定年「時代に合わぬ」80%、社会倫理に反する社命には「不服従」70%弱など、従来の日本人の勤労に関する価値観を覆すことについても報告されていました。 
 日本人の美徳といわれた「勤勉さ」に、黄信号がともっているのです。「勤勉さ」が今後も続くかについて、「そうは思わない」58%が、「そう思う」40%を上回っていました。設問の違いはあるものの、「勤勉さ」の先行きに不安を抱く人は84年の同種調査開始以来最高で、しかも初めて多数派を占めたと指摘しています。
 近年、仕事の実績や能力から、報酬や地位など処遇に差をつける「成果主義」を取り入れる企業が増えています。この傾向について、「好ましい」と評価する人は計64%、「好ましくない」と思う人(計34%)を上回ったとあります。年代別にみると「好ましい」は20~30歳代で70%を超えるなど、若年層ほど評価する割合は高くなっています。
 この調査結果について慶應義塾大学の樋口美雄教授は、「日本では従来、年功賃金制が採られ、その特徴として、若い時に生産性の割に賃金を抑え、それを中高年になってから後払いしてきた。だから、若者は成果主義を待望するのに対し、賃金が生産性を上回りがちな中高年層は成果主義になれば後払い分が減るという危機感を抱いている」と分析しています。
 「60歳定年制」が今の時代に合っているかどうかを聞くと、「そうは思わない」が78%。働き盛りの30~40歳代では80%を占めました。「何歳ぐらいまで働きたいか」では、「65歳くらいまで働く」(34%)が1位で、「健康である限りずっと働く」(33%)がこれに続きました。
 また、商品の欠陥を隠すなど、社会倫理に反するような仕事を上司から命令されたらどうするか? に関しては、1位は「できるだけしないようにする」(39%)で、「はっきり断る」29%台を合わせた社命“不服従”は70%弱いました。「やむを得ずやる」は23%、「会社のために割り切ってやる」は5%でした。
 みなさんの「仕事感」はいかがですか?


今日、専門性を高め、強い責任感を持って職責を全うすることが求められている

 原田和明氏(原田経済研究所所長、元三和総研理事長)が読売新聞論説にて次のような見解を示しています。日本の企業人の中に「新しい忠誠心」が形成されつつあると見ています。JR西日本での大惨事や、航空業界での管制室の誤指示が頻発していることを例に、わが国の「現場力」が急速に劣化し、従業員の職務に対する責任感や企業への忠誠心の変化が表面化していると述べています。
 まず、ギャラップ社による世論調査から。この調査は、従業員の帰属意識、忠誠心などに関わる主要14カ国を対象とした実態調査だそうですが帰属意識や熱意が「非常にある」が日本では9%で最低で、「あまりない」「まったくない」が91%に上っているとのことです。この項に関して最も高いのは米国で29%とのこと。日本では4人に1人はそうした忠誠心はまったくないとされ、その多くは職場に反発や不満を感じているのです。
 次に、最近の日経新聞の調査結果から。過去1年間に、成果主義型の制度を導入・拡大した企業は全体の28%で、この方式に満足する企業の割合は約40%で、成果主義を強化する動きが見てとれるとしています。同調査では、今後、成果主義を廃止したり、過去の年功序列型賃金の要素を加味したりすると答えた企業はゼロであり、この調査では、実力主義・成果主義型賃金制度が、予想以上に根付いてきたことを示しています。
 以上2つの調査から、今後の新しい人事管理の方向性が見えてくると結論づけています。すなわち、現在のグローバルな市場経済の下では、専門性を高め、強い責任感を持って職責を全うすることが「新しい忠誠心」とみなされます。
 また、成果主義が予想以上に根付いているとすれば、企業は、従来の会社人間から「新しい忠誠心」をもった人材を育成することが急務です。成果主義によってやる気を高め、職場に定着してもらい、企業業績の向上に貢献する人材の育成が望まれていると言えます。21世紀に躍進する企業であるためには、成果主義を背景に従業員に個人生活の充実と「新しい忠誠心」を促すなど、相乗効果を高める雇用方式をさらに改革していくことが不可欠なのです。もちろん、成果主義にだけ走るのではなく、企業の社会に対する還元、関わり方等社会性も必要なことは言うまでもありません。


新たな長距離走の勝者となるべく人生設計を描く

 米国の経営学の権威であるピーター・ドラッガーによると、「テクノロジスト(専門分野別に優れ、経営管理もできる人材)の育成は、特に日本企業において最大の課題である」、「結果重視の公平な成果主義は、従業員に多様な勤務形態を選ばせることを可能にしますし、新しい忠誠心は個人生活を損なうなかでは育たない」とあります。
 日経新聞の調査結果、原田氏の指摘をみるまでもなく、日本人の人生観・価値観は、1990年以降大きく変化を遂げていきます。1990年頃までの日本人の人生観は、定年を60歳と定め、大学を卒業する22歳から60歳までの人生で勝者となるべく人生設計を描いてきたのです。
 ブランド大学卒業は、有名大企業への就職パスポートを保証するものでした。給料が他より多く、ボーナスも十分支給され、退職金もマイホームを建てることができるほど貰えることによって、人生の勝利者になれると思ってきたのです。小学校に入る前から大学入学まで10数年続く受験戦争。ところが大学に入った途端に、まともな本を1冊も読まなくなり、ひたすら遊びとアルバイトに精を出す学生生活、大学3年生秋ともなると、大学での講義をかえりみることなく、就職のため企業訪問を繰り返す。学生生活としては本末転倒な姿などは、こうした人生観によって裏打ちされてきたのです。
 ところが、1990年以降グローバリゼーションの潮流が日本にも、どっと入ってくるようになり、1992年にバブルが崩壊すると、有名企業神話も大きく揺らぐようになりました。大企業神話の崩壊は、学歴社会の崩壊につながり、人生観の転換につながりました。そして1995年の阪神大震災により、価値観の転換期を迎えます。
 1990年以前だったら、日本人10人中10人全てが学歴社会、大企業神話の信奉者であったのですが、今日では、人々はそうした価値観を棄てつつあります。入社から数年経った30歳前後の社会人の場合、はるかに多くの割合で、学歴神話、大企業神話の虚しさを実感しているのです。

 昨今、豊かな個人生活を送ることで長距離走の真の勝者に近づくのではないでしょうか。社会に出てからの自分自身を見つめ直し、また再び大学や大学院で学ぶことで、より多くの自分に気づき、人生を再生したいと考える人々が増えています。そして、その気持ちが肩書きや学歴を越えた本物の学びにつながっていくことでしょう。



 受験科目ごとの学習対策






「研究計画書」のテーマは
今までの仕事や社会活動から得た経験に関連していることが肝要!

社会人入試では、「研究計画書」の出来が合否の半分以上のウエイトを占めると言われています。それにどう準備し、どう向かえばいいのかアドバイスしていただきました。

何を学びたいのか、自分自身で明確に確認してから書くようにしましょう。
そうしないと説得力のある文章は書けません。

■社会人で最初からこれを的確に書ける人はまずいません!
 
大学院の社会人入試の場合は「研究計画書」を事前に提出しなくてはなりません。ところが、最初からこれを的確に書ける人は、まずいません。
 結局は、志望動機や研究対象と分析方法についての煮詰め方が足りないのです。人生観が次第に確立するにしたがって、明確になってきます。
 大学院入試では、「研究計画書」の出来が合否の7割くらいのウエイトを占めているといっても過言ではありません。このことは幾つかの大学院担当教職員から私自身が直接聞いていることで、ある程度自信をもって言えることです。
 「研究計画書」のテーマの設定ですが、社会人が、今までの仕事や社会活動から得た経験に関連していることが肝要です。これまでの社会活動からして、将来の活動の基礎となる研究をするのであれば、とても説得力があります。社会人入試で入れる大学院は、ほとんどが修士課程です。研究者向けの博士課程でないということは、裏を返せば、大学院側とすれば実務に役立つ研究をして欲しいということなのです。したがって、実務に関連したテーマを設定するのは当然のことといえます。

■自らの社会活動からテーマを決め、研究計画書を書く
 
特に大学院の社会人入試における「研究計画書」は重要です。ですから研究計画書の作成は早いうちから始めましょう。論文を書く訓練をしていない社会人が書くのですから、志望動機や研究対象について、そう簡単に説得力のあるものを書けるわけがありません。いいものを作るにはそれなりの時間が必要です。
 まず研究テーマを決める。これは前述したように、「社会体験と研究テーマの関連性」が重要です。できるだけ自分のやってきた仕事と関わりのあるテーマを選び、社会人としての体験やバックグラウンドを大いにアピールすることです。
 人生観の確立は、今日考えて明日結果がでるものではありません。自分の職務経歴を見直したり、今までの自分の生き方についてさまざまな角度から考えてみることです。まず自分の歩いてきた道筋を見直してみないと、本当に何を学びたいのか具体的で、説得力のある答えは出てきません。なによりも自分の社会体験をどう研究内容と結びつけるかがポイントなのです。これは大学の社会人入試における「志望理由書」も同様で、仕事と志望する学部とのつながりや、自分の問題意識と志望理由のつながりをできるだけ具体的に書くことが大事です。

■大学院を希望する人が強く意識しなくてはならないのは、自らの研究への取り組み方
 
大学院では「研究計画書」の作成が、合否の分かれ道になります。それほど重要なものです。
 「志望理由書」を書くときの心構えと同じですが、大学院を希望する人が強く意識しなくてはならないのは、自らの研究への取り組み方を示すことです。
 社会人といえども、大学院を希望するからには研究分野、対象の絞り込み、分析方法、問題意識を十分に煮詰めて書くことが必要です。その時背伸びをしたり、知ったかぶりはダメです。できれば「計画書」作成にあたって参考にした資料や文献があれば、それを掲載したほうがいいでしょう。また、計画書を書くにあたって、指導を受けたい先生がいるのかどうかも確認しておくことが必要です。
 「○○先生のもとで指導を受けたい」と書いても、その先生が退官していたり、転勤していては何にもなりません。「研究計画書」においても、現在の自分の仕事と研究分野の関連性が試験官に納得できる内容にすることが重要です。

■社会人であることのメリットを活かした「研究計画書」に
 
研究計画といっても、研究者養成の大学院と社会人対象の大学院では、その目的が違うことをまず理解してください。
 どこから手をつければいいかわからないという人は、オリジナリティを意識しすぎる人です。オリジナリティ(独創性)というのは、ある程度研究が軌道に乗ってから意識すればいいことで、修士課程で要求されるものでありません。
 社会人であることのメリットも活かしたいものです。先生方は、自分が知らない実務の現状について関心があるはずです。研究をどのような形で仕事に役立てたいのかなど、研究と仕事をいかに関連づけて書くかが得点アップにつながることでしょう。
 研究計画書に字数制限がある場合は、必ず守って下さい。○○字程度というのは、プラスマイナス10%以内なら許容範囲のようです。
 テーマが決まったら下調べと文献調査を始めましょう。そのとき、もう研究されているテーマを知らずに選ぶこともありますので、そのテーマがどの程度研究されているか、調べましょう。その上で、研究対象と分析方法について煮詰めていくことで説得力のある文章になるのです。


 ●研究テーマ
 ●研究の概要
 ●研究対象とした動機
 ●研究目的
 ●研究計画
 ●予想される研究成果

これらの要素がしっかりと入っている「研究計画書」にしてください。

800~1200字程度など。
冗漫な文章はダメ!
「である調」の書き方を!

 <POINT>決め手に欠ける「志望理由書」を書いてしまうのはなぜ?

私の学院に入学した学生の「志望理由書」を読んでみると、これでは目的意識が伝わらないなと感じるものが多いのです。その理由は大きく分けて3点あります。

(1)文章に統一感がない。
「です」と「である」調の混同がよく見られます。「である」調で統一したほうが思いが強く伝わります。

(2)大学に入って何を勉強したいのかが十分に述べられていない。
志望理由書を書くのですから志望理由がはっきりしていなくては話になりません。教育学部なら教育学部で、法学部なら法学部で何を学びたいのかが明確になっているかを自分自身で確認してから書くようにしましょう。そこから始めないと説得力のある文章は書けません。

(3)現在の職業と希望する学部の関連性が弱い。
一言で言えば、思考が十分に煮詰められていないのです。ここは重要なので繰り返しになりますが、志望理由書は、仕事と志望する学部のつながりや自分の問題意識と志望学部がどう関係しているのかをできるだけ、具体的に書くことが大事なのです。この後のページに、実際の模範例を紹介しますのでよく読んで見てください。会ったこともない人なのに、その人の人柄が目に浮かんでくるように感じ取ることができるでしょう。


『研究計画書』を通して試験官はあなたのココを見ている!

■関心領域
受験しようとする大学院で扱っている分野と研究計画書の内容が違う場合もあるので、面接時に確認する。

■当校の研究者に向いているか否か
受験者が大学院をどう捉えているかが分かり、その大学院に向くか、研究者としての資質があるかが分かる。

■意識・意欲
考え抜いて書かれた研究計画書には、自然と研究に関する意識と意欲がにじみ出る。

■知的レベル
文章力、構成力、社会人経験がうかがわれる文章体になっているか。この3点を推測できる。

■知識レベル
研究計画に関連する背景の基礎知識が分かる。そこから研究領域に関する基礎知識のレベルばかりでなく、先行研究などふまえた受験者の熱意もうかがい知れる。


「研究計画書」には職務体験から得た問題意識と
将来の目標が示されていなくてはならない!

「研究計画書」で要求されているものは、それまでの職務体験で培った問題意識と将来のキャリアビジョンです。その例を紹介し、「研究計画書」を書くポイントをアドバイス!

 研究計画書(抜粋) 

慶応義塾大学大学院経営管理研究科経営管理専攻合格
K・K(28歳)


<研究のテーマ>
日系広告会社にアカウントプランニングシステムを定着させるための組織改革



 総括

K・K君は昨年7月、私の学院に入学しました。K・K君は大学卒業後、日本最大手の自動車メーカーに就職し3年ほどして、ベンチャー企業に転職。2年ほど勤めて、大手広告代理店に勤務しました。K・K君ほど自分の将来に大きな志を抱いている青年は他に知りません。私は最初に会った時からK・K君に大きな期待を寄せていました。荒削りながらも、青年のバイタリティと野望を持った魅力的な人間です。「研究計画書」で要求されているものは、それまでのキャリアで培った問題意識と将来のキャリアビジョンです。







研究計画書に書いたものは
何を聞かれてもすぐに答えられるように事前に準備!

面接試験は、研究計画書をもとに行われます。どこをどう聞かれるのか、それにどう答えればいいのか、実際の「研究計画書」を例にアドバイス!

■動機や志望理由について明快に答えることが大事!
 
大学院入試の面接試験は、研究計画書をもとに行われます。ですから表面的な計画書では、試験官に聞かれて答えられないことになります。面接試験では最低でも研究計画書に書いたことぐらいは何を聞かれてもすぐに答えられるように事前に準備しておきましょう。
 特に研究テーマの設定については詳しく聞かれます。自分の仕事や体験と研究テーマの関係性を論理的に答えることが大事です。どんな質問を受けても論理がぶれないように受け答えをすることが必要です。

■面接を意識した研究計画書を書くことが大事
 
研究計画書は面接を意識して書くことが大事です。なぜならそれに沿って質問されるからです。自分の考え方、研究したいことが明確にわかりやすく書けていなくてはなりません。まず、実際に大学院志望の社会人が書いた研究計画書を添削し、その上で、質問されるであろうポイントをあげてみました。


<IMA志望者の研究計画書>
この研究計画書に沿って、面接でどんな質問がされるかシミュレーションしてみよう。

~企業再生コンサルタントを目指して~
(26歳男性)

 (1)私は4年間の社会人経験において、所属していた会社の事業上の倒産から、投資ファンドによる支援決定に至るまでの流れを、内部で目の当たりにしてきた
 投資ファンドにより、財務面で大幅な改善を図ることができた。しかし、(2)経営幹部を除く現場で働く従業員レベルには、再生への新たな経営方針や業務改善の具体的指針は示されなかった。このため、従業員の士気の低下は著しくなった。会社と従業員の目標の共有化なくしては、真の再生は成しえない。
 現在の日本経済の置かれている状況に、(3)旧来の日本の経営システムの限界を感じる。こうした状況下で、(4)外資系投資会社から公的機関である産業再生機構等のプレーヤーが存在する「再生ビジネス」は、企業を投資の対象として捉え、企業価値を高めるために財務面の改善に重点が置かれている。一部の外資系ファンドは「ハゲタカファンド」と揶揄され、一般的イメージは悪い。企業再生に金融的手法は不可欠である。しかし、再生過程の企業に属した私自身の経験から、(5)従業員のモチベーションやモラールの維持や向上は非常に重要である
 そうしたことから私は、持続可能な企業へ再生するための有効な経営戦略、業務改善を学びたいと考えている。様々な状況下において求められる経営能力と実践的な経営手法を身につけるため、私自身が経験した事例を含め、(6)MKSパートナーズの「福助」やユニゾンキャピタルの「東ハト」のような、外部からリーダーを招集し独自の経営改善を図りつつあるケースを先行事例として、再生過程の企業の現場における手法と効果を体系的に研究することで、(7)将来のキャリア形成に生かしたいと思っている。わが国オリジナルの経営戦略、再生プロセスモデルの構築を研究したいと考えている。


この「研究計画書」口述試験で質問されると思われる事柄

(1)大学卒業から4年間の企業人経験(倒産~退職を余儀なくされた経緯)について具体的に尋ねられます。明確に答えられるようにしてください。

(2)経営危機に対する経営幹部と一般社員(従業員)の意識のかい離とは、具体的にどのようなものだったのかについて質問されます。

(3)「旧来の日本の経営システムの限界」とは具体的にどのようなものなのかについて質問されます。

(4)「再生ビジネスが財務面に重点が置かれている」と記していますが、「それではあなたは、具体的にどのようにしたらよいのか」について尋ねられます。

(5)「従業員のモチベーションやモラルの維持」の具体的な方策について尋ねられます。

(6)「福助」や「東ハト」の他に、あなたが注目する企業再生の事例はないのか、質問されます。

(7)大学院修了後の進路について質問されます。







多くの大学・大学院で課される小論文。
この出来、不出来が合否の分かれ目になる!



一般入試と違い、社会人入試では時事問題、大学院入試では研究科の専攻に関連する課題を通し、論理力、思考力が問われます。小論文では何が大事なのか、それにどう対応していけばいいのかをアドバイス。
■小論文、あるいは論述問題の出題率は高い
 
大学の一般入試と、社会人入試、大学院入試との最も大きな違いは、社会人入試・大学院入試ではマークシート方式の試験はほとんど行われないということにあります。英語の試験がない場合でも、小論文、あるいは論述問題の出題率は高いといえます。したがって、ただ単に設問に対して、たくさんの選択肢の中から一つだけの正解をいち早く見つけ出すといった、多くの受験生がこれまでの入試で行ってきた受験勉強の仕方では、合格レベルの小論文を作成することはできないということは、心しておきましょう。

■大学院の小論文は研究科の専攻と関連した課題が出される
 
大学院の場合は、研究科の専攻と関連したテーマが主流です。
 一般の大学院の入試は、学部で4年間学んだということを前提に出題されます。社会人大学院入試の場合は、出身学部と大学院の志望専攻が一致していない場合も多いので、専攻の知識をどれだけ理解しているかを、おおまかに確認するために、研究科の専攻と関連したテーマが出題されるわけです。

■志望校でどのような出題がされているのか過去問題を調べることも大切
 
志望校の過去問題を入手して、その傾向を押さえておくことは重要なことです。それによって、ある程度の出題傾向は把握できるでしょう。とくに、志望校の試験時間、字数、および受験学科の専門に関する小論文なのか、それとも一般的なものなのかはしっかりチェックしておきましょう。
 ただし、ここ数年、大学・大学院側としては、断片的な知識を試すというこれまでの入試のあり方を繰り返したくないという気持ちが強まっています。そのため、論理力、思考力を試す設問にしているケースが増えており、過去問題の検証だけでは入試問題を予想するのはきわめて困難になっています。AO(アドミッションズ・オフィス)方式で合否の判定をしている慶應義塾大学大学院の経営管理研究科と政策メディア研究科、早稲田大学大学院のアジア太平洋研究科などは、とくにその傾向が強いといえます。

■確かな視点と論理の一貫性が求められる
 
小論文の設問の仕方は、一つだけの答えを試すものではなく、複数の答えを想定して作られています。
 たとえば、文章を読ませて、それに対する知見を問うものや、3~4の図表・文章を提示して、それらから導き出される見解を論述させるといった形式が一般的です。

■正しい表記で、誤字・脱字は厳重チェック!
 
正しい表記に則って、誤字・脱字なしに文章を書くことです。入試本番では、国語辞典の持ち込みは不可です。さらに、論文を書くのにふさわしい豊富な語彙力と表現力を身につけておきたいものです。そのために、有効な勉強法は、実際に論文を書いて添削してもらうことです。的確な判断ができる第三者のチェックを受けるのが理想と言えます。


小論文の書き方のポイント(1)
実際に社会人が書いた小論文を例に、書き方のポイントをアドバイス!

 原稿の書き方の基本

(1)書き出しと段落の初めは必ず1マス下げる。

(2)1マス1文字が鉄則。句読点や括弧類も1マス分をとる。括弧の後に句読点がくる場合も1マスにまとめず、それぞれを1マスずつ分けて書くこと。

(3)行の先頭に句読点や促音、閉じ括弧をおいてはならない。必ず前の行のマス目下に書く。

(4)数字は、横書きの場合は1マスに2字入れる。また縦書きの場合は十単位までは横書きで1マスに入れ、百単位以上は数字を1文字ずつ縦にばらす。
アルファベットは基本的に縦書き、横書きのどちらの場合でも横組みで1マスに2字入れる。

(5)句読点の一般的な打ち方は以下の通り。

●長い主語の後
《例》私が今朝走ったのは、万年橋の近くだった。

●文と文の境目
《例》妹は見なかったと言うが、確かに彼だった。

●文頭の副詞や接続詞の後
《例》しかし、何も言わなかった。

●読みちがえそうな箇所
《例》サッカー、ゲーム、オーバータイム。



<問>「郵政民営化の意義」について論ぜよ。



 講 評

(1)郵政民営化に全面的に賛成の立場から論述している。一番良い点は、論旨が明確である点だ。財政赤字が深刻化し、この際行財政の構造改革が必要であることをまず述べている。郵貯と簡保の資金が財政投融資や国債購入に当てられている問題を指摘している。

(2)難を言えば、結論が弱い。自分の見解を再度強調した方が論文にふさわしいといえる。当たり前な総意的見解は論文の質を下げるものである。削った方がよい。


■小論文の書き方
課題を把握し、構想を立てる。それから落ち着いて書き進めていこう!

(1) 課題の趣旨を把握する
題材やテーマは何か、そこにどんな問題があるのか、その問題にどう対処すればいいのか、ということを素早く判断して、課題の趣旨を正確に読み取る。

(2) 構想する
初めに指定文字数から段落数を決めておく。目安としては700字なら3~4段、1000~1200字なら5~6段ぐらいが適当だ。論旨を展開するとき注意しなくてはならないのは、独断的にならないことだ。社会問題を論じる場合は、社会の広がりの中で論旨を進めていかなくてはならない。各段落に何を書くかメモして、自分の言いたいことをどの段に書くか決めておくといい。

(3) 書き上げる
文章量は指定文字数の90%以上に収めるようにする。文字が多かったり、少ないのは減点の対象になる。誤字・脱字や表現上の問題がないように徹底的にチェックすること。
読み返した時に大幅な直しは禁物。混乱の原因となる。誤字・脱字を直すことにとどめておこう。




小論文の書き方のポイント(2)
内容が豊富で、論者の知識の豊かさを感じさせる。
やや構成に難あり!

ビジネス系の大学院志望者に参考になると思われる小論文例を紹介。工藤先生がレベルが高いと推奨する小論文です。

[小論文添削実例] コーポレート・ガバナンス

 コーポレート・ガバナンスとは企業統治を指す。近年においては企業の反社会的行為が連続して発覚し、企業経営をめぐって、改革が叫ばれた。その影響で、株主代表訴訟が導入され、最大の問題であった経営と業務運営の分離をソニーが取締役会の改革として行い、話題を呼んだ。従来の日本的経営(終身雇用制度、年功序列、企業内組合)は、会社組織を擬似家庭とし、経済規模の拡大に努めていたが、利益獲得の為には手段を選ばず、社会全体の倫理より、内部の倫理を優先させたので、不正が発覚しなければ不問にされるという土壌を生み易かった。
 出世は役職が上がることとされ、更にはそこに取締役が付くのがサラリーマンとしての終着駅と考えられた。
 現状だと経営と業務運営とが明確に分離されていない為に、経営者としての責任の所在が明確でない問題や、社外からの外部看視が効かず、勢い、社長が唯一の絶対権力者となり、企業統治が正しく行われなくなってしまう問題点を抱えていた。
 そこで、取締役数を絞り、使用人取締役を廃止し、取締役の半分を社外取締役としたのである。
 会社のためにと言う唯我独尊を排除し、社会の公器としての組織運営を進めるようにした。又経営者としての能力と業務遂行者としての能力を明確に分離する事を可能とした。既に欧米においては一般的な経営形態であるが、ソニーを先弁として、導入される企業が相次いでいる。これからは若い社員でも経営者としての能力を問われる様になり、最初から選別される様になるだろう。
 その場合多くの社員に能力発揮の場と、報酬上のインセンティブを保証していかないと、今度は社員の会社に対する不正発生というモラルハザードが頻発する危険性を含んでいる。

 ●用字用語の誤り 看視→監視

 評 価

(1)内容の豊富な小論文です。コーポレート・ガバナンスの定義から始まり、それが主張されるようになったきっかけ、日本における企業経営の問題点、具体的な改革の事例などが多面的に論述されています。論者の知識の豊かさを感じさせます。理屈だけで終わらせずソニーの事例を取り上げているのもよいと思います。

(2)構成の面では少し工夫が必要です。現状では、どこからどこまでがソニーの例であり、どの部分が一般論なのかが判然としません。段落の分け方についても、同じ内容のものはまとめて一つの段落にするべきです。たとえば、1.コーポレート・ガバナンスの定義と簡単な説明、2.日本の企業における所有と経営のあり方、3.新しい企業統治の方向性、4.ソニーの事例、5.モラルハザードへの警鐘、という五段構成にすれば、原文の直しが最小限ですむでしょう。

(3)小論文の構成を考える場合には、まず段落ごとに見出しをつけてみるとよいでしょう。見出しは段落の内容を表しますから、並べれば「もくじ」ができます。「もくじ」の納まりがよければ、その小論文の構成がよいということです。



小論文をレベルアップするためのトレーニング!

■論旨に一貫性がある簡潔な論文を書くこと
 理解力や思考力をアピールするには、論旨に一貫性がある簡潔な論文を書かなければなりません。そのためには、アカデミックな文章に数多く触れることです。「中央公論」など、気鋭の論客の論文などを読んでおきましょう。専攻分野の専門書を読み、基本概念をしっかり把握しておくことも必要です。

■トレーニング法としては、新聞の社説を要約する学習方法が効果的
 
受験生の中には、事前に小論文の対策のための勉強をしても無駄と考えている人もいるようです。けれども、決してそんなことはありません。確かに、短時間で論述力を高めようとしても無理ですが、半年から一年間の時間をかけて、じっくり勉強すれば、十分に合格できる小論文の能力が身につきます。
 社会人入試の小論文では、その年の重要な社会的、時事的、文化的な問題がよく出題されます。世の中で今、どのような問題が起こっているのか、社会の動向にアンテナを張りたいものです。問題意識を高めて、自分なりの意見を展開するには、新聞の社説を読み込み、正確に理解することが大切です。ただ読むだけでなく毎日、要約するトレーニングを継続すれば、自然に文章力も向上します。

■大学院を目指す人にとっては、専門知識の修得も必要
 
大学院のほか、大学でも、専門に関する小論文を課すところもあります。そうした大学・大学院を志望している人は、専門に関連した書籍を数冊読んで、要約したり、自分なりにテーマを設定して文章にまとめるといった学習をしておきましょう。また、自分の書いたものが合格レベルに達しているかどうかを確認するためには、予備校などで実施している小論文模試も活用してほしいと思います。

■小論文に絶対的な正解などないが、レベルというものはある!
 
私のところに来る学院生も「先生、小論文の正解を教えてください」などと言ってきます。しかし、小論文に絶対的な正解などありません。ただしレベルというものはあります。論文というからには論旨が明確に通るような文章でなくてはなりません。時事問題、社会問題などを論じるのであれば、毎日、新聞を読み、テレビの報道番組やドキュメンタリー番組を見るくらいは当然でしょう。なかには「天声人語を読んでいればいいですか?」などと言う人がいますが、天声人語を読んだところで、明確な論旨を持った小論文は書けません。最低限、政治や経済を語り、現代社会を考察するには、その基盤となる基礎概念をしっかりと持っていない論文を書くことはできません。その上で、毎日新聞の社説や論説記事を読み、それを200字から400字で要約するなどのトレーニングを積むことが肝心です。
 日頃から社会的な基本的概念と社会的問題意識の涵養が大事であり、常に自分の考えを文章にする訓練をしておくことが大事です。
 お酒でも良い味が出てくるには数ヶ月「寝かせる時間」が必要です。これは小論文の構成にも言えることで、1、2ヶ月練習してうまくなるものではありません。訓練を積むうちに最初は400字の原稿用紙を埋めるのがやっとだった学生が、突然、りっぱな小論文を書くようになることがよくあるのです。

小論文で成功するための心構え

 (1)人生観を確立すること

 (2)社会的問題意識を持つこと

 (3)温かい心を持つこと

 (4)積極的な生き方を心がけること

「文はこころ」であるということを肝に命ずるべし!






英語の長文を語学的・内容的に正確に理解する能力を身につける!







 
   このページのトップへ